仕事中に「意図的にデジタルツールを閉じる習慣」で集中力を取り戻した体験談
デジタルツールの進化は、私たちの働き方を大きく変えました。特に在宅ワークにおいては、PCやスマートフォン、様々なアプリケーションが業務遂行に不可欠な存在となっています。しかし、これらのツールは同時に、私たちの集中力を持続させる上での大きな課題となることも少なくありません。ここでは、「必要な時以外はデジタルツールを意図的に閉じる」というシンプルな習慣を実践することで、仕事の集中力と生産性を劇的に向上させた一人の体験談をご紹介します。
デジタル漬けの日々と失われた集中力
私はウェブ関連の仕事をしており、普段からPCと向き合う時間が非常に長い環境にいます。在宅ワークになってからは、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちで、常にオンライン状態にあることが当たり前になっていました。
朝起きてすぐにスマートフォンをチェックし、仕事中はブラウザのタブが常に開きっぱなし、メールやチャットツールは通知が来るたびに確認。調べ物をするつもりが、いつの間にか関連性の低い情報を見てしまったり、SNSを覗いてしまったりすることも頻繁でした。一つのタスクに集中しようとしても、すぐに何らかの通知が来たり、別の情報が気になったりして、思考が中断されてしまいます。結果として、タスクの完了までに時間がかかり、多くの作業を同時に進めようとするものの、どれも中途半端になるという悪循環に陥っていました。
この状態が続くにつれて、仕事の効率が悪いだけでなく、常に何かに追われているような焦燥感や、目の前のタスクに集中できない自分自身への不満を感じるようになっていきました。これはどうにか改善しなければ、という思いが強くなりました。
シンプルな「閉じる」ルールの実践
様々なデジタルデトックスの方法を調べる中で、私は「必要な時以外はデジタルツールを意図的に閉じる」という、一見当たり前のように思えるシンプルな行動に焦点を当てることにしました。これまでは、ツールは「常に開いているもの」という無意識の前提があり、通知をオフにするといった対策は試したことがありましたが、根本的な解決には至っていませんでした。
具体的に行ったことは以下の通りです。
- タスク開始時の強制終了: ある特定のタスク（例えば、デザイン作業やコーディング作業など、集中が必要なもの）に取りかかる際、そのタスクに直接必要のないデジタルツール（メーラー、チャットツール、SNSアプリ、不必要なブラウザタブなど）は、意識的に「終了」ボタンを押して閉じました。
- 時間帯による区別: 午前中の特定の時間帯（例：9時〜12時）は、緊急性の高い連絡手段（電話など）を除き、基本的にデジタルツールを閉じて、最も集中力を要するタスクに充てる時間と設定しました。
- 情報収集は「目的を持って」: 必要な情報収集を行う際は、事前に目的を明確にし、その目的を達成したらすぐにブラウザや関連アプリを閉じるように心がけました。漫然とタブを開きっぱなしにしたり、関連リンクを辿りすぎたりしないよう意識しました。
- 「休憩時間」と「仕事時間」のツールの区別: 短時間の休憩中も、ついついスマホを手に取ってSNSを見てしまうことが習慣になっていましたが、休憩中は意識的にデジタルツールから離れ、軽いストレッチをするなど、デジタル以外の方法でリフレッシュするよう努めました。
最初のうちは、ツールを閉じることに抵抗感がありました。「何か重要な情報を見逃すのではないか」「すぐに返信できないとまずいのではないか」といった不安です。また、習慣を変えることは容易ではなく、無意識のうちに手が伸びてしまうことも多々ありました。しかし、「これは必要な行動なのだ」と自分に言い聞かせながら、根気強く続けるようにしました。
「閉じる」習慣がもたらした劇的な変化
この「意図的に閉じる」習慣を数週間続けるうちに、驚くほどの変化を実感するようになりました。
最も大きな変化は、仕事に対する集中力の持続時間と深さです。以前は頻繁な中断によって断片化されていた思考が、一つのタスクに没頭できるようになりました。これにより、複雑な問題解決にかかる時間が短縮され、作業の質も向上したと感じています。以前は多くのタスクを同時に抱え込もうとしていましたが、一つずつ順番に、深い集中を持って取り組む方が、結果として全体の生産性が高まることを実感しました。
また、精神的な落ち着きも増しました。常にオンラインでいること、様々な情報が絶え間なく入ってくることによる、一種の騒がしさや焦燥感が軽減されました。必要な時に必要なツールを開き、目的を果たしたら閉じるというコントロール感を持つことで、デジタルツールに振り回されるのではなく、主体的に「使う」ことができるようになったと感じています。これにより、仕事中のストレスも明らかに減少しました。
具体的な効果としては、特定のデザインタスクの完了までにかかる時間が、以前と比較して平均で約20%短縮された感覚があります。また、作業中に別のツールに切り替える回数が減り、目の前の画面に集中できる時間が増えたことは、体感的にも非常に大きな変化でした。
仕事とプライベートの境界線も明確になり、仕事時間が終わった後にまで仕事関連の通知や情報に引きずられることが減りました。デジタル疲れが軽減され、プライベートの時間もより質の高いものになったと感じています。
デジタルとの新しい付き合い方
今回の体験を通して、私はデジタルツールは「常に開いておくべきもの」ではなく、「必要な時に開き、使い終わったら閉じるもの」という意識に変わりました。これは、受動的に情報を受け取るのではなく、能動的に情報を取得し、ツールを活用するという考え方です。
デジタルデトックスは、単にデジタルツールから距離を置くことだけではなく、デジタルツールとの向き合い方、付き合い方そのものを見直すプロセスであると学びました。特に在宅ワークにおいては、自己管理が重要になるため、こうした意識的なデジタルツールのコントロールは、集中力と生産性を維持・向上させる上で非常に有効な手段となり得ます。
もし、あなたも常に開いているデジタルツールや絶え間ない通知によって集中力が散漫になっていると感じているのであれば、まずは一つのツールからでも良いので、「必要な時以外は意図的に閉じる」という習慣を試してみてはいかがでしょうか。きっと、そのシンプルな行動が、あなたの仕事の質と精神的な平穏に大きな変化をもたらしてくれるはずです。